最近、日本ではクマ(ツキノワグマ・ヒグマ)に関するニュースが連日のように報じられています。
背景には地球温暖化による森の変化と人間社会の変化(過疎・里山管理の停滞など)が重なり、クマの食べ物・生活リズム・行動範囲に大きな揺らぎが生じていることがあります。
日本では高温の記録更新や豪雨の頻発が報告されています。
気象庁の気候変動監視レポートでは、地球全体・日本ともに観測史上最高クラスの高温を記録したこと、極端現象の変化に注意が必要であることをまとめています。
こうした気候の変化は、森の生き物たちの季節のタイミングやエサの実り方に影響を与え、食物連鎖の上位にいるクマにも波及しています。
ドングリの凶作
東北地方では、ブナの実やミズナラなどのドングリの豊作・凶作が年によって大きく変わります。昔からドングリの豊凶がクマの人里出没の多寡と関わることが指摘されています。
2025年秋、複数の自治体がブナ・ミズナラなどドングリの「凶作〜大凶作」を公表し、人里へのクマ出没リスクの上昇を注意喚起しました。栄養価の高いブナが凶作の年は、特に問題が起きやすく、集落周辺でも出没が増え、街中でもクマの出現が報告されています。
山も海も食べ物不足
北海道大学の研究では、サケの漁獲減少の背景に海水温上昇など気候変動の影響が考えられること、全国的なドングリ不作と重なった年には知床でヒグマの大量出没が生じることを示しています。
海の資源(サケ)と山の資源(ドングリ・果実)の両方が不作だと、冬眠前のクマが必死にエサを求めて人里に近づきやすくなるのです。
冬眠の乱れと温暖化

クマの冬眠は、体温を少し下げ代謝を落として数カ月飲まず食わず排泄もせず過ごす独特の冬眠です。近年の報道や専門家の解説では、暖冬や少雪により冬眠入りが遅れたり、冬眠明けが早まる可能性への警戒が示されています。
- エサが不足(ドングリ・果実・サケなど)+暖冬のセットは、冬眠前や冬期の出没増につながりやすい。
- 真冬でも山に入ればクマとの遭遇リスクがあるという認識が必要。
過去最多水準
環境省の公開資料や内閣官房のまとめによれば、2023~2025年にかけて人身被害や出没件数が過去最多水準に達し、ドングリ凶作年の秋には市街地出没や死亡事故が増加したことが示されています。
2025年は死亡者数が過去最多になったとの速報も入っています。
異常気象の影響
- 季節のずれ
花が咲く・葉が出るタイミングや受粉の成否が気温に左右され、結果的に種子(ドングリ)の量や周期が変化します。長期観測では、気温上昇と結実リズムの変化が対応する例が報告されています。 - 極端現象の増加
猛暑・干ばつ・豪雨は、樹木の生理機能や花芽形成に影響します。気温上昇傾向が続くと実りの安定性が脅かされます。 - 海の変化が山に波及
海水温の上昇や海の生態系変化によりサケなどの回帰魚が減ると、ヒグマの重要なタンパク源が減ります。秋の山の実り不作とダブルパンチになって人里への出没を誘発します。
人間側の事情
地球温暖化の影響は大きいものの、里山の管理低下・過疎化・猟師の減少など社会的要因が重なると、森と人の境目があいまいになり、クマがエサを求めて住宅地に入りやすい状況が生まれます。
科学と現場をつなぐ対策
- ドングリの豊凶調査(ブナ・ミズナラ・コナラなど)を年ごとに実施し、不作予報と出没リスク情報を早期に出す。
- 気象データ×豊凶のモデル化を進め、将来気候下の食料見通しを高精度化する。
- 秋の放置果実・生ゴミ・野外のペットフードはクマを呼び込みます。住宅地・園地・キャンプ場での管理強化が、人身被害抑止に直結。
- 国は緊急出没対応事業で自治体支援や体制構築を拡充。通報→初動→追い払い→捕獲までの標準手順と人員育成が必要。
- 住民には遭遇時行動(走らない・背中を見せない・ゆっくり下がる・頭頸部を守る等)や、複数人行動・熊鈴・スプレーの普及啓発を継続。
ま と め
- 温暖化で季節がずれ、極端現象も増える → ドングリの実り方が不安定に。
- 海でも資源が減る → 山と海の二重の食料不足が起きる年があります。
- その結果、冬眠前や冬期にもクマが人里に現れやすくなり、出没・人身被害が高水準で推移。国・自治体は体制強化とデータ公開を進めています。


